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戦前の大都市は無産階級の空間を形成し、その住宅の大半は借家だった。戦後には持ち家が増え、住宅所有の大衆化は経済・社会史の分水嶺となった。一方、持ち家の増大はそれを持つ・持たないグループに人びとを分割し、住宅を所有する世帯をその資産価値の高低により序列化した。
仏経済学者のトマ・ピケティ氏の不平等論の要点は、労働所得と資本所有の比較にある。同氏によると、住宅を含む資本の所有に関連する不平等が労働所得のそれより大きい。この傾向は成長率が下がるとより顕著になる。日本は長い経済・社会の停滞により労働所得が増えず、他方で持ち家の普及した社会となった。ここでは、既に蓄積した住宅・土地資産の分布のあり方が不平等を形づくる決定的な因子になる。
住宅・土地は、それを所有する世帯の資産であるだけではなく、相続を通じて次世代に承継され家族の世襲資産になる。社会の上層には、複数世代にわたり住宅・土地資産をさらに増やす「蓄積家族」が存在する。このグループは大都市に多い。高収入の子世帯は親の援助を受け価値の高い持ち家を取得し、さらに投資のために不動産を買い、そのうえで大都市立地の親の持ち家を受け継ぐ。
豊富な住宅資産の一部は賃貸住宅として市場に出され、家賃収入を生む。大都市では高級タワーマンションの建設が増えた。その一部は高収入の子世帯により買われ、富裕家族の資産目録に加えられた。
<ポイント>
○トップ1割が住宅・土地資産の過半占有
○上位階層ほど持ち家促進政策の恩恵享受
○賃貸住宅にとどまる階層への支援強化を
「日本経済新聞」より
建物の屋根に太陽光パネルを設置する動きが広がっている。大成建設は2024年度中に、工場向けの新サービスを始める。東急不動産と大東建託も既存サービスを広げる。国土が狭い日本では平地は適地が少なく、太陽光導入量は全盛期の半分ほどに低迷。屋根という未活用の資産の重要性が増している。
「日本経済新聞」より
丸太の輸入が減っている。海外の環境規制や製材品への移行、国内建設市場の縮小といった要因が重なったことで最盛期の1970年代に比べ9割減少。並行して製材所も減少し、国内木材産業にとって新たな課題になっている。「この浅瀬も昔は丸太でいっぱい。活気があった」。木材問屋が軒を連ねる東京都江東区の新木場で、担当者が振り返る。新木場は流通拠点としてにぎわってきた。柵で囲った浅瀬は、主に輸入した丸太の貯木場だ。外航船から下ろした輸入丸太を小舟で引き入れ、樹種や大きさなどで分けて水面に浮かせて管理していた。周辺には製材所も多く、木の香りが強く漂っていた。だが、いまや丸太は浮かばず、静かな水面(みなも)が広がる。
林野庁の木材需給表によると、2022年の丸太輸入量は21年度比6%減の362.8万立方メートル。戦後の復興期に住宅や電柱敷設などに木材が必要となり、使い尽くされた国内の森林資源の代わりに供給を支えたのが、米国産などの輸入丸太だ。
「日本経済新聞」より